グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…面倒くせェなァ…。
(ジャスティスは消えゆくような声で、小さくそう呟いて、眼の前の肉塊に何気なく目線を落とす。冷たい瞳で見つめながら、声だけは相変わらずの軽い調子で「…思うんだがよ、地獄の空って暗いよなァ。そういや天界の空ってのはどんなモンなんだ?アンタらみたいに白くておキレイなのか?」と返答を求めない、至極下らない会話を投げかけながら、普段以上に徹底的に痛めつけていた。暫くして眼前の肉塊が呼吸を停止した後、3号室に元天使の同僚が入ってくる。拷問器具やら諸々を補充しに来たらしい。ジャスティスはふとそちらに目線を遣り、その海のような青い瞳を見つめていると、思いついたようにぼんやり口を開いた。「アー、コイツ高等天使なンだろ?枠が空いたンだからよ、そろそろ天界に帰ったらどうだ?」その言葉に同僚は呆れたように、または諦めたように薄く笑って口を開くと彼女のそんな言葉に返答する。「…もう俺は戻らないさ…地獄の方が気楽に働けるからな。…じゃ、ここに補充したの置いとくから」彼が部屋を立ち去ってしまうと、部屋にはジャスティスと肉塊だけが残された。─恐らく、もう少しすればこの肉塊は廃棄係が回収しに来るだろう。…そういえば、待機部屋に生かしてある、あの、妙に自分に懐いている、腹の立つくらい容姿が美しい、底の見えない闇を秘めた子供を天界へ投げ込んで天使に仕立て上げてしまえば、罪人たちも反抗しないのではないか─そう思い立った彼女は部屋を飛び出し、鍵の掛かった待機部屋の扉を開く。多くの罪人達は光のない、死んだような瞳で彼女を見つめるものの、例の子供は彼女を見るなり「あっ、ジャスティスおねえさんだ!ね、ぼくのことはいつごうもんしてくれるの?」と彼女の脚に飛び付いてきた。彼女はその子供の頭を撫でてやり、「よォ、ボウズ。元気だったか?ジャスティスお姉さんな、お前に頼みがあンだよ」と持ちかける。彼は嬉しそうに大きく頷くと「おねえさんから、ぼくにおねがい?なあに?」と首を傾げた。「お前、天使になってみる気はないか?お前が天使になってくれると、お姉さんすっごく助かるンだけどな」と優しげな声で頼んでみれば、子供は快く了承し、彼女の案内で天界へ続く道へと歩き出していく。その背中を見送り、彼女は地獄へと戻っていった─彼女が部屋に戻って、暫くした後─天界では、一人の美しい少年が門の前に立っている。彼は門を守る天使に天界の中に招き入れられ、あどけない表情を浮かべながら天界の中を歩き回っていて)
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