グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…オレが、ねェ。
(天使の指先が頬を掠めると、彼女は背中にいきなり氷を詰め込まれたような、ぞわりとした奇妙な感触を覚えた。いつも通りの軽薄な声で答えつつ、表情には出さないものの、瞳の赤く冴えた光が一瞬だけ、何の感情かゆらりと不安定に揺らめく。「…そうだなァ。そンじゃ、拷問体験させてやるか。拷問課のヤツにもオレが言っとけば、まァ文句ねェだろ」彼女はそう言って立ち上がり、コキュートスホールのレジへとズカズカと進んでいく。天使よりも先に自身の財布をポケットから抜き出し、どことなく不機嫌そうな態度で、札を何枚かレジ係の悪魔に叩きつけた。彼女は、天使と共にウェイターに見送られながらコキュートスホールを出て歩きつつ、スーツの胸ポケットから服装と同じく黒い携帯電話を取り出して拷問課へ連絡を取っている。どうやら相手は元天使の青い瞳をした同僚らしく、急に告げられた、元知り合いを連れて行くという旨の連絡に、当然ながら慌てたような声がスピーカーから漏れ出していた。「…オレだ。あのよ、今からクソ天使サマそっちに連れてくから。テキトーな罪人見繕っとけ。…ア?まだ後回しにしてるクソ野郎とか何かといンだろ。ま、取り敢えず行くからよ」彼女は一方的に捲し立てると電話を切り、天使の方へ向き直って「…ま、行くか」と笑って)
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