グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…あァ。そうだな。
(慕われている、天使からのそんな言葉に気の無い生返事を返し、彼女はメニュー表を見つめる。─この地獄でも屈指のエリートコース、コキュートス勤務を辞めて、拷問の方へ異動したのは何時のことだったか。…きっと、彼女が今戻ってきてもかつての同僚たちは喜んでくれるだろう。何せ、コキュートス内ではかなりの実力者として通っていたのだから。…ただ、拷問の方が性に合っていた、それだけだ─注文を取りに来た店員に「…いつもので頼むわ」と取り敢えず来ていたときに良く食べていたメニューを注文した。改めて店内を見回すと、とコキュートスホールの内装はコキュートス勤務時代と何一つ変わっていない。地獄にそぐわない眩いシャンデリアの煌めく、豪奢な内装のレストランだ。ウェイターが二人分の注文を取り終わり、恭しく一礼をして下がる。「ハッ、反吐が出るほどおキレイだろ?堕天した悪魔が創業者なンだとよ」暇を持て余したのか、煙草に手を伸ばしかけるが流石に店内で喫煙するのは不味いとでも思ったのか、身を乗り出して天使に軽い調子で話しかけた。店内は客がちらほらいるものの彼女の言葉通りに全員静かで、この風景だけ切り取ればまるで天界のようで)
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