グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…ッ、ハハァ…いいねェ!サイコーだ!
(彼女の言葉に天使が俯く。ーさァ、ここからどう出る。クソ天使サマらしく潰したことに怒るのか、それとも可哀相だと哀れんでやるのか、と思って眺めていると、クソ天使サマは心底楽しそうに、いつもの反吐が出そうなお美しい微笑みでケラケラ笑い出す。ーどうやら、先程の人間が言っていたのは矢張りコイツのことらしい。その表情を見た、彼女の吊り上がった唇の端はブルブルと震え、数刻後に彼女の澄まし顔は崩れ、路地中へ響くのではないかと思われるほど、その声に負けない大音響でゲラゲラと同じように嘲笑していた。煙草がポロリと唇から零れ落ち、地面に落ちてじゅ、と足元の石畳が焼け焦げる音を立てる。「涼しい顔してよく言うぜ、このクソ天使サマ。ま、オレみたいな『高等悪魔』を怒らしたンだ。頭潰されたくらいで済んでンのは安いモンだろ」すっかり上機嫌になった彼女は新しい煙草を箱から一本抜き出し、左手の指先から炎を出して火を点けた。じじ、と音を立てて煙草が燃え、吸い始めの濃い煙をふう、と虚空に吐き出す。彼女の唇から漏れた灰色の煙は、恐ろしいほど透き通った青い空と空気に混じって消えてゆく。それから見せつけられた傷口に目を落とし、ざっと検分する。傷自体は小さいが、かなり深く額が割れていた。彼女は上機嫌がてらに天使へズカズカと近付き、その白い額に今しがた尻ポケットから取り出した、皺くちゃの絆創膏をペタリと貼ってやり)
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