グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…ハッ、いいぜ。
(ジャスティスは唇を引き歪め、受け取った細身の煙草を箱から一本抜き出し、早速火を点けて唇に銜える。普段彼女が吸うものとは違う、甘ったるいメンソールの香りが鼻を衝いた。若干薄く見える紫煙を吐き出しながら、ジャスティスは手袋を嵌め直し、アリシアの手を取って部屋を出ると、そのまま店を後にする。路地裏を抜け、静まり返った夜の街路に、彼女の履いているブーツのヒールが地面を蹴る音だけが甲高く響いていた。暫く歩いたところで、彼女はぴたりと足を止める。二人の目の前にあるのは、中世ヨーロッパを彷彿とさせるレンガ造りの邸宅で、ジャスティスはアリシアの手を一旦離すと、迷いもせずポケットから鍵を取り出して解錠し、「…オレのお帰りだぜ。開けな」と扉に手を触れた。その声に呼応するかのように両開きの扉はひとりでにゆっくりと開いていき、アリシアの方を振り返ったジャスティスは「…さ、どうぞ?アリシア」と笑いながら手招きして)
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