グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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…いンや、特に何も考えてなかったんだけどよ。
(その見た目と同じように上品ぶった、わざとらしい仕草で白いワンピースの女ー天使は彼女の方を振り向いた。その笑顔は傍から見れば世間知らずなお嬢さんの可愛らしいものにも思えたが、彼女のサングラス越しの目には胡散臭いものに映ったらしく、サングラスの中の瞳を見苦しいものでも見たかのようにきゅう、と細める。ざっと見る限りでも美しいブロンドの髪、透き通るようなエメラルドグリーンの瞳に可愛らしい顔立ち。眼の前の白いワンピースの女は紛れもなく彼女が忌み嫌う『クソ天使サマ』であった。だが彼女はなにか腑に落ちないらしく、「…どーも『天使』のワリにはあんた、オレと同じ匂いがすんだよなァ」彼女は何とも言えない表情を浮かべながら、そうぼそりと呟く。がすぐにへらり、軟派で軽薄そうな笑みを浮かべてみせ、「ま、いいか。ここで会ったのも何かの縁だ。どっかで茶でも飲もうぜ」と軽い調子で相手を誘ってみせる。それは、本当に、ただの『高等悪魔』の、数十年に一度あるかないかの気まぐれ。今日の分の仕事は終わっているし、理由は解らないが珍しく機嫌が良かったし、煙草も暫くは切れる心配がない。そして極めつけに、いつも拷問しかする機会のない『クソ天使サマ』とごく普通におしゃべりしてみるのも一興か、とその時の彼女が思っていたからだった。「アー、それとも?オレみたいな『悪魔』には付き合えないってンなら別を当たるけど?」と付け加えながらも、相手の出方を伺うように瞳は細めたままで)
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