匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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……はい、旦那様。
( これからも、ずっと花の街で生きていくのだと思っていた。それが当たり前のように、当然のように。それが何だろう、なぜ自分はこうして、人生で初めての車に乗って会ったばかりの見目麗しいこの男に買われたのか。慣れない車内の感覚に心をざわつかせながら椿は小さな手をきゅ、と握りしめて。そんな事ばかり考えていたせいかスッカリ屋敷に到着していたことも気付かず、鼓膜を震わす柔らかなバリトンボイスにはた、と我に返り。此方に差し伸べられる大きな手にそっと手を重ねれば慣れない男性の手に真白の頬を薄紅色に染めて。始めて入る洋風の屋敷はどれも目に新しく、宝石のようにキラキラと輝くシャンデリアにふわりと心地好く足の沈むカーペット。更には自分の手を引くのはまるで絵本の中から出てきた王子様のような……自分の新しい主人。ここは物語の仲だったかしらなんて勘違いしてしまうほどの光景に、椿の蘇芳色の瞳はぱちぱちと瞬きを繰り返すばかりで。 )
( / 屋敷は私も洋風の御屋敷を想像していたので、このままで続けていただけたらと思います!
時代背景が明治後期~大正初期なので、洋風の御屋敷でも珍しくはないかなあ、と!)
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