匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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─── 、花魁の…着物…?
( ふわり、と自分の耳を擽る彼の優しいテノールと視線にふと顔を上げて彼の視線の先を見遣れば、そこには今まで自分の世界の全てだった艶やかで煌びやかな花魁の着物。ごくひと握りの彼女らは、これを着て鳥籠の中でただただ人形のように佇んで微笑みだけで男を落としてしまうのだ。偶然にも椿はその美貌でなく芸者の腕で女遊びの世界を生きてきたが、少しでも境遇が違っていれば自分も今頃それらのように鳥籠の中で生涯を終えるところだっただろう。椿もそれに一瞬瞳を奪われた後に、なぜ彼がこちらを向いていたのか分からずにこてりと首を傾げ。しばらく考えた結果、花魁と遊んでみたいという事なのだろうか、なんて素っ頓狂な考えが浮かべば「 あの、直政様。大丈夫ですよ、私は構いませんから。 」なんて言葉足らずに彼の服の裾をくい、と優しく引っ張った後にいつもの花のような笑顔よりも少しだけ曇った笑顔を浮かべて。ヂリ、と胸を焦がすような痛みと一気に心に拡がったもやもやの名前は知らぬまま、椿は彼に人形遊びならば好きにして欲しいと。自分は彼の愛玩人形のひとりなだけであって、それらに口を出す資格はないのだから。 )
( /ありがとうございます…!
ぜひこれからもよろしくお願い致します! )
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