匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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俺の好きな柄…か。
( いくら芸術品のような扇といえども、先ほどのピアノと三味線に比べれば比較的安価な値段。楽器みたいにかさばらないのだし、どうせなら幾つか…いや、なんならこの棚にある扇を買い占めるか…?などと金持ち特有のズレた金銭感覚で恐ろしい考え事をしていると、椿なりの心遣いだろうか好きな柄は何かと問いかけられて。好きな柄…とは言われても、今まで芸子遊びなどしたことがないのだし、そのあたりの美的感覚などは洗練されていないためどうしたものかと悩んでいれば「 好きな色は赤色だな。 」と、柄はともかく己の好きな色を教えるだけでも選択し絞れるのではないかと思い、ふと口にして。「 あまり主張しない落ち着いた赤色…そうだ、ちょうど椿の瞳の色くらいの赤が好きだ。 」などと、補足して加えた説明はまるで口説き文句のような台詞で、己がどんなことを言っているのか気付いていないのか、そんなことも意に介さずにその蘇芳の瞳を眺めて。 )
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