匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
通報 |
な、直政さま、ぁああ……
( 矢張り自分の力では彼を引っ張ることは叶わず、逆にピアノの方へ誘導されてしまいいつものようにされるがままに連れていかれ。厭、たしかにピアノを触ってみたかったのは事実ではあるのだが、これで〝楽しい!もっと弾きたい!〟というような顔を一つでもしてしまえば彼はこのグランドピアノさえも買ってしまいそうな勢いなのである。なにだか弾力のある椅子に座らせられれば目の前に鎮座するツヤツヤと輝くその高価な佇まいに椿は思わずぱちぱちと瞬きをするばかりで。そっと彼の大きくて優しい手が自分の手に重なるようにして鍵盤へとリードされれば、いつものえすこーととは違う距離の近さに不思議と心臓がドキドキと高鳴ってしまうような感覚がして、初めて触れるピアノよりもそちらに意識がいってしまう。「 そ、その!直政様は、ピアノをお弾きになるんですか? 」 その緊張を紛らわすように、鍵盤に指を置く仕草が妙に様になっていた彼の方をぱっと見れば思ってたよりもずっと距離が近くて、いつもよりも近くに見える夜空色の黒瑪瑙とぱっちり視線が噛み合ったことにぱっと視線を逸らし。 )
トピック検索 |