匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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( こちらの言葉を否定するように、この紅茶は淹れた本人の賜物だと褒めちぎられるとだんだんとこそばゆくなってきて。しかし本人にもその言葉には経験があるらしく、この茶葉は行きつけの喫茶店で出されているものと同じであるのに、その喫茶店で出される紅茶は自分が淹れたものよりも芳醇な香りと味をしている。淹れ方をマスターに聞いてものらりくらりて躱されてばかりである。そう気付けば相手に言い返す言葉もなく頬を染めるばかりで。相手が固まっていたのは服を買ってもらうのは申し訳ないとのこと。花街の花魁は男共を手玉に取って貢がせると聞いていたが椿はそのような経験がないのか、今の姿からはそんな様子は欠片も感じられない。まあ水揚げもまだであれば懇ろの客などもまだつかなかったのだろう。そんな心配をする相手を安心させるように「 そんなこと気にする必要はない。服がなければこれから不便だろう? 」と、相手は目を逸らしたがこちらの眼差しは相手を捉え続け、車の中から誘い出した時と同じように手を差し伸べながら身請けしたからには相応の責任があるとそう言って。とは言いつつも、相手には便利という言葉も烏滸がましいほど、とびきりの服を仕立てようと企てていて。 )
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