匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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( 今日はとても良い日だった。お天気も良くて、それからお掃除だってコツを掴んだのか昨日よりも早く終わった。余った時間はお料理の復習をしたり、それからお布団を干したり、早めに浴槽を洗ったり。昼間になれば彼が作ってくれたおにぎりを食べて、その味の種類の豊富さやお米の甘さにきらきらと目を輝かせながら舌鼓を打ったり。そうこうしている間に日は落ち、昨日主人が帰ってきた時間となれば調理道具やらを出し料理の準備をして、あとは彼が帰ってくるのを待つだけで。
……だが幾ら待っても屋敷の扉のドアが開く音は聞こえてこず、時計の針は進んでいくばかりで椿の端麗な眉はどんどんと下がっていき。お仕事が忙しいのかしら、それともお外で何かあった?約束の事は忘れちゃっているのかしら。一度椿の胸の中に芽吹いた不安の種は留まること無くどんどんと大輪の花を咲かせていき。いつも2人で食事を取っているテーブルにそっと突っ伏しては「 ……直政様、まだかしら。 」 と言葉を零して。いつの間にやらそのまま眠ってしまい時間が経っていたのか、キィ、という扉の小さな音にハッと目を覚ませばぱたぱたと玄関へと駆けていき、〝おかえりなさい〟とで迎えようとした刹那。ふわりと彼から香ってきたのは紛れもなくおりょうの匂い。─── …嗚呼。なるほど。「 おかえりなさいませ、ご主人様。お鞄お持ちいたします。 」 にこり、と椿は花街で良く映える美しい笑顔を浮かべては丁寧な仕草で彼のカバンを受け取る。あんなにワクワクしていた気持ちはシンと胸の中から消え失せ、怒りよりもずっと、心を締め付けるような悲しみが新しく身体中を支配する。きっとあの人のところに居たのね。…私の約束なんかよりも、優先して。 )
( / もちろんです!ぜひその流れで宜しくお願いいたします…!! )
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