匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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椿はいつでも綺麗だよ。
( 女の矜持というものだろうか。見てもらうときには万全の状態でとささやかなわがままを口にする相手に、そうでない時も椿は可憐だと歯の浮くようなセリフを吐いて。しかしまぁ、相手のその見栄はこちらのことを想ってくれてのことなのだと反省すればこれからはバレないように覗こうと、斜め上の決心をして。三味線と扇を買うとはいっても、なんの知識もない自分が下手に手を出してもいいのだろうかと考え込んでいると傍から不思議そうな声で問いかけられれば、「 あぁ…椿の三味線と扇を用意しないとって思って。 」と小首をこてりと傾げる相手にそう告げれば、そうだ、ここにはプロがいるじゃないか。それに、相手の手に馴染むものを選んで貰えばいいと思えば「 そうだ。今度、三味線と扇を買いに行こうか。 」と外出がてらに買いに行こうと提案して。相手から許しをもらうためにはどうしたらいいのだろうか。なにか無茶なことを言われなければいいのだがと不安になっていると、しゃがみ込んでいた相手が立ち上がり、不意にこちらの耳元まで唇を近づけて、その鈴の声で囁かれると、まるで2人の秘め事の約束をするような状況にドキリとしては頬を赤らめて。「 あ、あぁ…わかった…。 」と、とどめと言わんばかりに困ったように眉を下げて可愛らしく小首を傾げてくればその条件を飲み込むことしかできず。しかし、その要求の真意や相手の胸の内に渦巻く黒いなにかを知るはずもなく、少女のただのわがままだろうと軽く受け止めては「 片付けが終わったら椿も風呂に入って今日は休みなさい。 」と、一日中掃除していたので疲れているだろうと気遣って。 )
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