匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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…無理はしないように。
( メーカーから珈琲をカップに注げば豊かで香ばしい香りが食卓に広がっていく。うん、今日もいい塩梅だと我ながら納得の出来に淹れることができたようで。飲んだことはないが、こちらと好きなものを共有したいと、まるで恋人のような不意打ちの台詞に「 ん゛んっ 」と吹き出しそうになって。己の好きなものを誰かに好きになってもらうということはそれは嬉しいものだが、相手にそんなことを言われてしまうと思春期男子にありがちな勘違いをしてしまいそうになる。頬をほんのりと赤らめながら、相手の分の珈琲をカップに注ぎ、相手の前に持っていき。飲むのが初めてならばおそらく…というより確実にその味に驚いてしまうだろう。一応、助け舟としてシュガーポットと牛乳も持ってきて。ニコニコと笑いながら、これからは食事は任せろと頼もしい台詞を吐く相手に、そういえばまだ相手の手料理は食べたことがなく、いったいどんな料理を作るのだろうかと気になりながら「 あぁ、楽しみにしてる。 」と自分以外の誰かの家庭料理というのが初めてなため、その期待を胸に笑顔を浮かべながらそう言って。手を合わせていざ食事。目玉焼きの黄身の部分を割ればとろりと完璧な半熟加減で、それをベーコンに絡めて口に放り込めば「 うん。 」とだけ頷くが、出来栄えはそのなんとも幸せそうな表情を見れば簡単に察することができて。 )
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