記憶喪失の子 2023-04-04 20:42:48 |
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(自分は記憶を喪っている。その事実に絶望し涙が流れそうになる。怖い。これからどうすれば。記憶のない状態で一人で生活しなければならなくなるのかと思うと、目の前が真っ暗になりそうになる。医師に縋り付こうとした時だった。病室のドアが勢いよく開けられ、まるで弾丸のような勢いで女性が入ってきた。若い、自分と同い年程度の女性だろうか。見るからに焦燥し、こちらへ駆けてくる。突然の見覚えのない訪問者に若干怯えながらも、ふと思った。この人は私と何か関係のある人なのだろうか。思い出そうと思っても今の自分に思い出せることは何一つとしてない。この人なら私のことを知っているかもしれない。そう思い、恐る恐る目の前の女性に対して「あなたは……誰ですか?」と問う)
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