匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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…はい。このまま帰るのはさすがに…ちょっと、目立ち過ぎるんで。
( 目を向けずとも声色だけで分かる落胆具合にそっと視線を戻せば、そこには想像通りのしょんぼり顔。暫くは諦めきれない様子で思考を巡らせているらしかった少女だけれど、何も妙案が浮かばなかったのか、少し経つと意気消沈したように肩を落としていて。感情表現の豊かな相手のこと、自身が通常の状態ならそんな姿を歯牙にも掛けなかっただろうが、今回に限っては傑作のメイクを形に残しておきたいという気持ちが理解できるだけに心が揺らされ。しかし、実行に移す移さざるはともかく、自撮り写真に拘らずとも彼女は他にもその手段を持っているはずで。寂しさ混じりに聞こえる問い掛けに肯き、せめてメイクを落とすのは最後にしようと決めては、中断していた片付けを再開する。その矢先、突如として忙しいノックの音が響き、返事を待たずして扉が開くと、駆け込んできた事務所スタッフは此方に気遣いを見せつつも、来客中のお偉方に挨拶だけでもしてほしいと所属アイドルに頼み込み。そのやりとりの行方は見守ることしかできないながら、もしそのせいで公認の隠し撮りが失敗に終わり、彼女の恐らくは初のヘアメイクの〝形〟が手中のデータのみとなったなら、トーク画面にぎこちない微笑みが貼られるのも時間の問題だろうか )
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