花詠み 2023-02-26 13:52:45 ID:f4a4a17f9 |
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全く、一万も出さずにあんなこと出来ると思うなんて、相場見てから出直してきてほしいですね!
(かわたれ時、というのだろうか。朝日が顔を出し始めた薄暗いホテル街を、一人の女がスキップしながらひとりごとを言って歩いていた。全く、という言葉の割に表情はニコニコし、声色もはずんでいた。理由は、彼女の手に握られている似合わない牛革の財布でわかるだろう。そう、可漣は先程一緒に寝ていた(性格には可漣は狸寝入りをしていただけだが)男のベットから抜け出し、ハンガーラックに掛けられた背広からこっそり財布をすって一人ホテルを出て来たのだ。自分には五千円しか出さなかったくせに、財布には数枚の万札が入っていた。4ケタでどうしてあのような暴力的なプレイをする権利が買えると思ったのだろう。なんでもする、だがそれ相応の金額は貰うと言っているのに。まあいい、これぐらいあれば何日か、弟妹達のおかずを一品増やしてあげられるだろう。ほくほくとした気持ちになる。と、その瞬間、頭がぐらりと揺れるような、鈍い痛みが襲う。スキップを止め頭をおさえると、途端に体のバランスが取れなくなり、そこらの路地裏に座り込む。......あのお客さんぜん手加減しなかったから当然といえば当然だ。頭を殴られた気がしないでもない。男の拳で殴られろくに処置もしなかったくせに、スキップなんかしたのが悪かったのだろう。少し荒くなった息と痛む頭で座って考える。この程度なら少しジッとしていれば治まる。ただ、こんな所で座って寝ていれば今度は自分がすられる側になりかねない。どうしましょうかね、と呟いて前を見てみると、この時間帯にも関わらず一人誰かが歩いているのが目に入る。あの人に助けてもらうか。ついでに次の客にでもなってもらえればいい。どんな人か判別は出来ないが、自分は男女も年齢も問わず相手が出来るし。考えがまとまった、すぐに行動に移そう。高い声を出し、弱々しくも可愛らしく、いかにも可哀そうに見える笑顔で相手に呼び掛ける。)
おーーい!そこの......お姉さんかお兄さんか誰か知りませんけど、あなたぁーーー!......助けてもらえませんかぁ?
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