花詠み 2023-02-26 13:52:45 ID:f4a4a17f9 |
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>85 唯織様 梵
誘導されるまま、すいと指が頬を滑る感触に思わずふっと小さな笑いが溢れる。
自分が作った状況でありながら、大人しくそれを実行する彼女と頬の感触に、何とも言えないむず痒さを感じた。
「君の方が肌の滑らかさは上だと思うけれど…お褒めにあずかり光栄です」
いくらケアをしているとは言え、もらいものを使っているだけだからねと笑いが溢れる。
それに、目の前の彼女の方がきめ細やかで美しい肌を有しているのは明白で。
それでも綺麗な肌の持ち主から、適当とは言えケアしている肌を褒められるのは嬉しい。
小さく唸ったり、声を漏らしたりしながら真剣に肌の感触を確かめる姿に、やはり笑いが込み上げてきて。
邪魔をしないようにくつくつと喉で笑いを噛み殺すが、時折耐えきれずにふふ、と唇から漏れてしまう。
「っふふ、気に入ってもらえたなら何より。街のヒトでもそこまで褒めてくれることはないから、ちょっと照れるね」
照れる、と言いながら頬に朱がさすことも、恥ずかしがることもないのだが。
ただ、ありのままを褒めてくれる彼女に好感を持ったのは確かで。
きっと彼女の目が見えていたのであれば、天真爛漫な娘に向けるような、歳の離れた目に入れても痛くない妹に向けるような、親愛が込められた甘さのある表情を見ることができただろう。
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