( 妻の手が触れて自身も手に目を落とすと、傷のことなどすっかり忘れていたかのように遅れて「ああ」と零す。あっけらかんと笑って見せては、心配そうにしている彼女の手を、今度はこちらから包み込むように握って ) 少し掠っただけだ。傷も浅いし血も出ていない。心配ないよ。