癒えぬ古傷。/文豪ストレイドッグス 夢也

…だと良いのだけど…えぇ、そうね。…服、貴方が選んでくれる？
（暫く経ったらこっそりと中原に会いに行こう、そう思っており。貴方を見上げては少し恥ずかしそうに目を逸らしつつお強請りに近いお願いをしてみて。服を選んでもらうのは憧れだった。貴方の手を握り直し指を絡めて）

もし挨拶したくなったら私もついて行くよ
(ここに来るだろうということを見越して言う。そんなふうに格好つけてみては言いものの、頭の中では姉さんにどんな服を着せようかずっと考えてる。電源を切っていた携帯の電源をつけてみると、そこには国木田の不在着信が並んでいる。しかも律儀に5分刻みで。それをみて「あちゃー」と零し)

あら、…同僚の方？とっても律儀なのねぇ。
（有り難う、なんて呟きつつ着信履歴を隣から覗き見ては同じ名が並んでいるのを見てくすくすと笑い。国木田。名前は聞いた事がある。理想人間なんだとか。首を傾げつつも前方に見えた服屋を指差し「そこで買う？」と問い掛けて）

本当に彼は生真面目に足を生やしたような人間でね、私の大事なおもちゃ、間違えた。大事な同僚の1人だよ
(笑いながら、過去に自分が国木田にしたことを思い出す。相手が指したお店に目を向け、ここならよさそうだなんて考えて「姉さんが良ければここに入ろうか」と手を引く)

良いじゃない。真面目な人って結構好感持てるわ。…こら。おもちゃにするんじゃありません。
（大層仕事の出来る方なんだろう、と想像しつつおもちゃと言ったのを聞き逃さずに軽く眉を顰めては昔の様に優しく叱ってみて。引かれるがまま「太宰君好みの私にしてみて？」と小首傾け）

(真面目な人って好感持てると聞いて、すぐに国木田に「私生まれ変わるよ、今から君の仕事を全部やってあげよう」なんて送るが無視される。「私好みなんて、君も悪い人になったね」と姉さんの頭を撫でてみる)

悪い人？そ、そうかしら…？
（貴方の言う悪い人の意味が分からずに首を傾げては「私、ただ太宰君の好みが知りたいだけなんだけれど…」と眉尻を下げて其方を見た。服屋に入っては開口一番に「わぁ…！」と瞳を輝かせて。久々に服屋に来たからか何処か心が浮き立ってしまい。）

(相手の素直な言葉に喉をつまらす。喜んでいる相手を見て微笑むけど、よくよく考えたら今財布を持ってないことを思い出し、「少し御手洗に行ってくるよ」と相手に伝え国木田に電話をかける。「国木田君、一生のお願いがあるのだけど」「ずっと電話に出ないと思ったらなんだ」「お金、貸してくれない？」「切るぞ」「国木田君は武装探偵社の一員が警察にお世話になってもいいと言うんだね！？」「…どこにいる」「さっすがだよ、国木田君！」)

え？えぇ、行ってらっしゃい。
（突然手洗いに、と言う貴方に驚きつつもにこやかに。貴方が何をしているかも知る由は無く店内を歩いては不意に目が止まった外套。在り来りなものだが何となく貴方が着ているものと似ている気がした。暫くその外套を見詰めた後その場から離れ他の服も見ていって。服を選ぶなんて、いつ振りかしら。と懐かしさで頬が緩んでしまい。）

(太宰が電話の向こうの国木田をもてはやしていると、相手に男ふたりが近づく。「お姉ちゃん1人？」「もしよかったら俺らと買い物しない？」と明らかにナンパ目的の様子で。「買い物だって複数でした方が楽しいし」「女の子一人だと危ないし」となれなれしく相手の肩に触れて)

…辞めて頂けるかしら？
（声を掛ける男性二人に振り返ってはにこやかな笑顔を浮かべるも次第にその笑顔は黒さが増す。マフィアも伊達じゃない。自身の肩に触れる相手の手を握っては愛らしくもう威嚇する様な笑顔を浮かべつつ凄んだ声色で告げて。）

(いくら笑顔に暗黒さを見せたとしても、男どもに映っているのは可愛い美少女。それを逃す訳にはいなかいと、胡散臭い貼り付けたような笑顔で相手を誘う。「そんなこと言わずに」「お茶だけだから」なんて言ってると、相手の後ろに国木田が現れて、思わずその威圧に男どもは口篭り)

だから辞めて頂戴____？
（めげない男達に少ししょんぼり。矢張り威圧が足りないのかと思いつつ嫌だと首を横に振るも突然威勢が無くなった男達に首を傾げ奴等の視線の方向、自身の後ろを見る様に振り返っては見知らぬ彼が居て。助けてくれたのだろうか。と思ってはふとその人に何かしらを感じた。彼が国木田、たる人なのだろうか。だが男達がこのまま去ってくれるならと虎の威を借る狐同様に自身の腰に手を置き胸を張っては得意げに微笑み）

(国木田は思う。ここにあの唐変木を探しに来たはいいが、女性が困っている。でもここで助けに入ったら、完全に不審者にならないか？と。俺の面は確かに太宰のそれとはちがい、険しいところもある。しかし、ここで助けないというのは俺の理想ではない、と声をかけようとすると相手がこちらを自信ありげに見てくる。…助けろということなのか？と言う言葉が頭に浮かんだあと声をかける。「ここに居たのか、…妹」妹とはなんだ、俺と頭を抱えたくなる。一方その頃太宰は、そんな様子を影からずっと見ており)

…？…お兄ちゃん、こんな所に居たのね！探したのよ？
（成程、適当な関係性滲ませて男達を退散させようという戦法か。と解釈しては思いの外楽しげに乗りつつ彼の手を取りまるで本当に妹が兄を見付け少し怒っている様な風に頬を膨らませた。「お兄ちゃんがどっか行ってたから変なのに声掛けられちゃったよ！」少し幼い言い方をして見せては仲睦まじい兄妹に見える様に手を握って）

(「本当にお前は、いつも迷子になる癖をどうにかしろ」とまるで太宰に怒っているような態度になってしまう。太宰相手なら今から説教が始まる所だが、なんとか踏みとどまって。「俺の妹が世話になった」と完全に空気だった男どもに睨みを聞かせる。その男どもは逃げるように退散していく。その背中をため息を吐いて見送ると「ここら辺は治安が悪い、女ひとりで出歩くのは推奨せん」と相手に声をかける国木田。)

助けてくれてどうも有難う。…一人じゃ無いわ。えっと、…知人と一緒だったのだけれど其の方がお手洗いに行っちゃったの。
（手を離し彼へ向き直ってはぺこりとお辞儀を一つ。優しい彼に微笑み掛けつつ一人では無いと訂正を入れては貴方との関係を如何言おうかと悩み結局知人にして。当の貴方は何処だと辺りを見渡しては偶々見えた貴方へ手を振り「太宰君！」と満面の笑顔。）

(知人と来ていると聞いて少し安心して「そうか」と答えると、探しているやつの名前を耳にする。丁度、あの国木田が女性をナンパしているよと中島にメールしているところを見つけられる。とてもいい笑顔で「姉さん、ごめんね少し仕事の電話が入って」と2人の目の前に現れる。国木田は相手の横を通り過ぎて太宰の胸ぐらを掴んで「貴様と言うやつは！！」と怒鳴り)

ちゃんとお仕事しててえら、____…。喧嘩は駄目よ、ね？
（仕事の電話だと言う貴方を疑う事なく偉い。と褒めようとするも彼が怒鳴り声を上げて口を噤んでしまう。二人の間に入っては二人の腕をぽんぽんと叩き彼に優しい笑顔を向け宥めようと。）

ほら、姉さんに免じて許しておくれ
(情けなく両手を上げて降参のポーズをする。国木田も相手には強く出れず「くそ」と太宰の胸ぐらから手を離す。「それで、これがお前の財布だ」と財布を手渡し帰ろうとするのを引き止める。「どうしてそう逃げるように帰るんだい？もしかして、照れてるの？」と聞いた太宰を背負い投げする国木田)