スレ主 2022-10-11 10:07:36 |
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【洋館/大食堂1/ベンジャミン・サイクス】
「……チッ今度は小娘か。」
舌打ちを一つして、同行者(紗龍)に諌められて銃口を下げる…――(経験則)から考えて、この(洋館)がどういう“オブジェクト”かを推察しようとも思っていたがこの囚人風の赤モヒカンが(実験)で経験して来た過去の幾つかの(おかしな建物)の法則上に当て嵌まる物は今の処無い。
彼(紗龍)が言う様に如何にも無頼とかその辺のチンピラ染みた容姿のいかつさに似合わない慎重さを
この赤モヒカンは有しており…それ故に(今まで)生き延びて来たというのもある。
それを踏まえて、この中々肝の据わっているらしきこの水色髪のややあどけなさも残った様子のまだ名も知らない少女(スズナ)に尋ねてみる。
「お前、一応聞くがこの屋敷を知っていたり見覚えはあるか?」
―そうしながら、既に息絶えている穴だらけ且つ血濡れの男の亡骸――彼が最期に指し示していた胸ポケットを探り…出てきた一本の『鍵』と、血で汚れ、且つ穴が開いた状態の折りたたまれたメモ用紙を確認する。
≫紗龍 、スズナ
【洋館/1F 南側通路付近/エディー・ドンブラウスキー、???×6(更に廊下の窓より侵入中)、巴マミ】
■■■……
声にならない声を上げながら向かって来る動く死体(ゾンビ)
反対側の廊下の一室から出てきた何処かの学生服姿の金髪巻き髪の少女(巴マミ)
うぉあっと、小さく悲鳴を上げて動く死体と銀髪の彼女(シズナ)の間の戦闘から身を庇い隅に縮こまる青年(エディー)
ガシャン!ガシャアアン!
巴マミ「うぁ…っ!!」
大太刀の一撃が比較的容易くスーツの動く死体(ゾンビ)を両断すれば、その所作の間に廊下の窓が数枚割れて更に数体ずるずると割った窓から続々と侵入し、窓に飛び込んだ勢いで――その奇妙に良いタイミングから(敵性存在)と銀髪の美女(シズナ)が読んだ巻き髪の少女(マミ)に掴み掛かかり喰らいつかんとするが、
巴マミ「やめて―下さい!」
肩に噛み付こうとした何処かの売店の女性店員風の動く死体(ゾンビ)をそのまま引き倒す――そうして反射的に文字通りマジック(魔法)よろしく何もない場所から“取り出した”白と黒を基調とした装飾の施された前装式の(マジカル・マスケット)を取り出すとそのまま起き上がろうとする動く死体に向けて構えて…
撃てなかった。
身のこなし、実戦経験、(魔法)の扱い、技術の研鑽…どれを取っても(魔法少女)としてはトップクラスの実力と経験を有する彼女であったが――(魔獣)退治や敵対する(同類)との小競り合いならばいざ知らず…正気を失い完全に生きた人間とは異なる様相ながら(人)で在る(在った)であろう目の前の誰かに対して引き金を引き絞る事が出来なかった。
其れが己が護ると決めた尋常の人々だと言う認識――そこから来る迷い。
一方、目の前で件の銀髪の美女(シズナ)が一閃の元にスーツの動く死体を斬り伏せている間に、新たに客室の1つから出てきた…少なくとも人間らしき金髪巻き髪の少女が更に窓を割って入ってきた動く死体に襲われているのを見て、縮こまっていた小太りの青年は…震える手で護身用のリボルバー(コルトSAA)を構えて彼女(マミ)に掴み掛かる死体に狙いを付けようとし…
≫シズナ
【洋館/1F客間/???】
がちゃり…キィイイイ
視線に気付き――怪しんで目星を付けた観音開き式のワイン棚を覚悟を決めて一息に開く青年(グレイ)
一瞬、棚の中に黒く細い影が見えて、闇の中で爛々と光る赤い双眸を輝かせたかと思うと瞬きの瞬間にその姿は完全に消えてしまい、後は黴臭く数本の年代物のワインが入っているだけになっていた。
中に何かが入り、隙間から覗いていたのは間違い無かったが、正体までは分からずじまいである。
≫グレイ
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