匿名さん 2022-09-05 03:30:03 |
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ん…っ。
(眠りについてからしばらく経ち。夢現の意識が現実へと引き戻されると目をひらけば、そこには深い蒼のドレスの布が視界いっぱいに広がっていて。未だ微睡みを揺蕩う意識の中で必死に状況整理をしていると、メリュジーヌに膝枕をされながら眠りについたことを思い出して。であれば、眠っている間に無意識に寝返りを打った結果、顔が相手の方に向き、今の状況なのだろうと冷静に把握して。乙女の膝の上でなんと行儀の悪いことをしてしまったのだと目を覆えば恐る恐る頭上の相手を見上げて。茶目っ気のある相手のことだからどんな言葉を紡がれるのだろうかと覚悟していたのだが、いつまで経っても相手の声は聞こえず、どうやら相手も同じく眠りについていたようで。そういえば、今日の相手の活動時間はいつもより早かった気がする。その分の睡魔が今になってきたのだろうか。相手を起こさないようにそっと頭を上げて身を起こせば、気持ちよさそうに眠りについている相手を起こすには忍びないと、これまで膝を貸してくれていたお礼と相手の身をそっと寝かせて今度はこちらが相手に膝枕をしてあげて。)
「(夕食は…今日は遅めにしようか。)」
(マイルームの時計を見れば、いつもなら既に夕飯を食べている時刻をゆうに過ぎているが、膝の上の妖精騎士の安眠を守るためにも、一緒にカレーを食べる約束を果たすためにも、今日は少しだけ時間をずらすことにして。これは後で赤いアーチャーに小言を言われるなと苦笑しながら、相手のきめ細やかな銀髪を梳かすように頭を撫でていれば、突然マイルームの扉が開いて。『マスター、既に夕飯の時刻は過ぎているぞ。早急に食事を済ませてもらいたい。』と、入ってきたのはカルデアの食堂の番人、赤いアーチャーことエミヤであり。大きめの声で入ってきたためか、膝の上の相手を起こしかねないと「(し~っ)」と己の鼻に人差し指を当てるジェスチャーをして。状況を察したエミヤは『(す、すまない…。)』とひそひそ声で話し始めて。「(本当は僕が寝てて、夕飯の時刻になったら起こしてくれるって言ってたんだけどね、寝ちゃったみたい。)」と、改めて状況を説明して。)
『(なるほど。しかし、こうしてみると騎士などではなく姫のようだな。)』
「(本当だね。頼りになるのは間違いないんだけど。)」
『(マスター、夕飯はどうする。他の英霊も君のことを探していたぞ。)』
「(メリュジーヌが起きてから行くよ。もし、なかなか来なかったら二人分のカレー用意してくれると助かるな。)」
(と、二人で妖精騎士を挟んでひそひそ話しを続けており、『(承った。遅くなるようだったら、ここまでデリバリーしよう。英霊たちにもこちらで話をつけておく。)』と、エミヤなりの気遣いをしてくれて「(うん、ありがとう。)」と、その心遣いをありがたく受け取って。『(それでは失礼する。精々、今は眠り姫を守る騎士に徹することだな。)』と、笑みを浮かべながら去り際に茶化されると「(エミヤ…!)」と膝の上の相手を起こさないように、抗議の声を上げて。)
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