匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……本当に、相当だな。何がそうお前を駆り立てるんだか……。
(返答のみで真偽を看破する自信があった訳では無いが、見据えた瞳孔の動きや素振りから解熱までとは言わずとも多少なり体調が改善されたのは恐らく事実ではあるのだろう。その事に安堵を覚えると同時に僅かに和らいだ瞳が、続く相も変わらず慇懃な対応と頑ななまでの勤労意欲に嘆息と共に呆れの滲む色を宿し。彼が単に己の命を遵守する人形という訳でもない以上、その内に根付く奴隷根性から一時の安静の命すら安々と飲み下せないのはある種想定通りとしても。日没の陽光が紫へと変じる僅かな間、逢魔が時という万物の境界を曖昧にし、人心を惑わせる不安定な時間帯も相まってだろうか。窓辺から差し込む夕陽に透き通るような無彩色の髪が薄紅に染まる様は嫌に儚げで、つい余計な感傷染みた情を喚起する。複雑な憂色を帯び、無意識に音として零れてしまったような様相で独りごちる自身の逸らした面貌は逆光により仔細を隠し。相手の目が慣れる頃には、つい深く踏み入りかけた思考を意識的に打ち止め、屈んでいた背を伸ばす事で適切な距離を保とうとするだろうか。回復の程度がどうあれ、少なくとも今日は休息を取るべきという以前の判断に揺らぎはなく、些か大仰な言葉選びと共に腕を組むと、冷然とした眼差しで相手の背後にある扉を有無を言わさぬ圧をもって顎で示し)
余計な謝辞は不要だ。それより俺は、数日は寝ていろと言ったはずだが。……今なら叛意でなく、病の所為という事にしておいてやる。下した命令に変更はない、大人しく俺の部屋に戻れ。
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