匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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(手のひらが額に触れた瞬間、鋭く上がった声が示すのは呪いの感知か。緩慢に眉と瞼を持ち上げ、驚愕の表情を浮かべる主人を見遣る。真似るように自分の手のひらを額にあてがってみるけれど、温感が伝わるのみで平常時との数度の差異を感じ取れるほど繊細な感覚は働かず。熱があると言われればあるような気もするし、ないと言われればないような気もする。しかし主人が言うのなら普段より幾分か多くの熱を体に蓄えているのだろう、とまるで当事者意識のない結論に達したところで、再度近づく金眼の存在に気が付き。まさかこの程度のことで〝主人の手を煩わせる〟わけにもいかず、普段通りの無駄のない動きですくっと椅子から立ち上がる。冷静さを保っているというより表情の管理にまで気を配る余裕がないと説明する方が適切なポーカーフェイスで、いつかと同様に淡々と注意書きを読み上げるも、精神力で補えるのはそこが限界。くらりと眩暈がしたかと思えば一瞬の暗転があり、次に視界が回復した時にはその場に頽れていて。咄嗟に椅子の座面に掛けた右手と床に突いた左手のおかげで外傷は無いに等しいものの、今起こったことがとても信じられないような、倒れた自身が一番驚いた顔で薄茶けた床に暫し視線を落として)
多少の熱程度なら問題ありません。動けま――……っ!
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