匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……、何だ、今日は随分と……。森の羽虫共に妙な呪いでも受けたか?
(矯めつ眇めつと与えた品を手にしていたかと思えば、薄ぼんやりと虚空を彷徨い始める気ままな視線から内心は今一つ読み取れないが、一先ずは遠慮や疑義の声が上がらぬ事でその場は良しとして。しかし、最近の苦悩が幾許か晴れた事に気を良くし、何気なく放ったそれへの回答は鈍く歯切れの悪いもの。失態を報告する相手の様はまるで雨天に打ち捨てられた仔犬をも連想させ、思わず少々垂れたようにすら伺える頭部へ僅かに伸びかけた手をはっと引き返し。自身と彼の関係性はそうではないだろうと、瞳に過ぎった柔い憂慮の色は一度の瞬きの後に訝しげなそれへと強引に塗り替えて、廊下へ向かいかけた足先を相手へと向け直し。さして難度の高い内容ではないとはいえ、さも機械仕掛けの自動人形が如く着実な成果を淡々と献上してきた彼の朝から続く不調の数々を初めて明確な異常事態と捉えては、距離を詰める間に真っ先に浮かぶ懸念は森の小さな厄介者。青味も濃いとはいえ元より緑眼の子供など奴ら――悪辣な妖精共の好む所ではある。数ヶ月前に度重なる悪戯に激昴し羽の片隅を焦がしてやって以来、近辺では姿を見せぬ為そう心配していなかったが、魔避けとして鉄片の一つでも与えておくべきだったかもしれない。兎にも角にも机上へ杖ごとに手を付き身を屈ませると、微量の魔力を帯びるもう一方の手の平をその額へ伸ばして)
まぁ気が付かない内に、という事もある。……少しじっとしていろ、診てやるから。
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