匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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はい。……それなりには。
(声に先導されるように呟きの落とされた先へ目を落とし、向かいの席が引かれる音を聞いた後に自身も着席する。仄かに湯気を立てる朝食は何度見ても火加減を誤ってしまっているものの、主人の口にするものであればいざ知らず、自身の食すものであればそう神経質になる程の事でもない。しかしやはり見目が良くないせいだろうか、食欲が湧かずなかなか手を付ける気になれずにいれば前方から飛んできた問いに視線を上げ。この住居での生活について指示を受けてから何度夜と朝を跨いだのか、正確な日数など気に掛けたこともないが、少なくとも出会ったばかりと表現できる時期は過ぎ去っているはずで。相変わらず自分の中に感情や考えを求める行為は雲を掴むようで危うく思考の迷宮に足を踏み入れそうになるも、普段以上にふわふわと纏まらない脳内に見切りをつければ肯定の音に合わせて静かに首を縦に振る。その際視界の端を掠めた失敗作に再度注意が向くと、連鎖的に早朝の失態が頭を過り、目を伏せては歯切れ悪く保身の言葉を付け足して。そろりと視線を戻せば不機嫌そうに眉根を寄せた主人がそこに居るものの、彼が別段機嫌を損ねているわけではないということは同じ住居で暮らすうち薄らと理解し始めた事柄。否定するという選択肢をあってないものと捉えているせいか深く考えることなく殆ど癖のように頷いたが、返答に偽りはないように思え、遅れて実感を伴えば小さな発見をした時のように暫し瞬きを忘れて)
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