匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……、っ、痛ッてぇ……! ……何だ、妙に……~ッ。
(閉じた瞼へ朝の柔らかな陽射しが注ぎ、薄らと両の眼を開く。日の入る角度、射し込む熱の温度、そして大樹の中に蠢く魔力の僅かな気配から、普段よりも少々寝過ごしてしまったらしい事を薄ぼんやりと悟り。しかしながら生来寝起きは良い方でもなく、もう数十分程度はもぞもぞと布団の中で惰眠を貪ろうとした矢先、突如ズキリと鈍い痛みが脳を貫いて。堪らず上布団を跳ね除けるように上体を起こし、苦悶に表情を歪めては依然鈍痛の続く頭部を手で押さえ。何処ぞで呪いでも貰ってきたか、と見当違いの方向へ思考を及ばせつつ、連鎖するように来襲する胸焼けや吐き気等の所謂二日酔いの典型的症状を自覚して。昨夜の記憶は朝霧の向こうへ霞みとんと輪郭すら伺えず、一先ずは水分でも取ろうと結び紐の解けた肩口程の赤を後ろへ流しながらベッドから立ち上がり。――その時、億劫げに動かした視線が緩慢に室内を走る中、部屋の片隅にて置物のように佇むあまりに明々白々な異物を捉え。もうごく僅かに意識が明瞭になれば昨日の記憶も直に取り戻していただろうが、半醒半睡の脳は咄嗟に彼を危険因子と誤認してしまい。昨夜から続く黒歴史に怒涛の一ページを書き加えんが如く、警戒心の漲る低い声音と共に間合いを詰めると、酷薄な瞳で見下ろすや否や手近の杖と迸る疑義を相手の喉元へと突きつけて)
! ……ッおい、お前! 子供がこんな所で何してる。何処ぞの魔術師か魔物の手先か知らないが……無論、火達磨になる覚悟程度は出来てるんだろうな? ――それとも、火竜の餌の方が好みか?
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