匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
通報 |
そう多くはない、後は調合室と魔道具等の保管庫位だ。……ただ、偶に波長が噛み合うと別空間に繋がる事はあるが。封鎖と防衛術式は効いているから、その場合はすぐに背後の扉へ戻れば支障はない。
(本という物は良い。一部例外はあるものの、常に黙して余計な贅言を吐かず、開けば数多の知識と先人の遍く叡智が詰まる。集中出来る場所へ、と提示して単純に自身が最も心安らぐ部屋に導く辺り対人能力の乏しさが現れていると言うべきか、天井まで届く程の物言わぬ大量の書籍に少々落ち着かない素振りを見せる相手へ失策を薄らと悟りつつ、奥へと向かう道すがらに平板な声で問いに答え。地下室への保管物は希少性や価値自体が高いか、あるいは扱いに注意を要する物に限られる。地上の住処とは異なり完全に空間自体を遮断している分、閉鎖性と防犯性に優れる一方どうしても若干不安定となる接続の隙間に偶然別の異空間と稀に重なる事があり。それに加えて、高度かつ執拗な隠匿工作を施しているにも関わらず己の地下空間を感知し、なおかつ恣意的な干渉を試みる迄に強大な力を有する理外の存在もあって「……繋がった先が茶会の場合は多少厄介だが」と自身が過去に遭遇した事例と同様の事態が彼の身にも降り掛かる、そんなごく僅かな可能性を苦々しく付言して。口にするだけで不快感の湧き上がる記憶にこれ以上の言葉を費やす気はないといった素振りで、奥懐にある上等な意匠の黒布が掛けられた読書用の机と柔らかな同色の布が張られた一人掛けの椅子を相手へ示してみせ)
……そこへ座れ。別にそう難しい事はない、魔術学校でもやっているような普遍的な手法を取るだけだ。まずは意識的に呼吸を深く、徐々に肩の力を抜いて、最後に瞼を下ろす。…後はこっちで誘導してやる。
トピック検索 |