匿名さん 2022-08-21 15:03:38 |
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……火竜の餌……。
(厚く張った氷を砕かんとする勢いで実験台に手を突き、途切れることなく何事か呟きながら天板を発光させる主人を、立つに立ち上がれず床にへたり込んだまま視野に収める。口唇から無防備に漏れ出る思考も、平常時であればすぐに察しの付く魔法陣を展開しているのだろうという気付きも、そのどちらも得ることなくただ愕然と目を見開いてそこに居るのは己が現実を拒絶するせいか。喉奥に何か支えたような呼吸のしづらさを覚えて薄く口を開けると、上下する胸元に合わせて瞳を覆う水面が揺れ、あっという間に世界の輪郭が暈けてしまう。そこへ涙の向こうで相手が此方を振り返る気配がしたかと思えば、ややあって寂寞とした白銀の地下室に重たい溜め息が落とされて。いよいよ終焉かと覚悟する矢先、続く声音はしかし烈火の如き激情も氷点下の冷酷さも孕んでおらず、そればかりか咎める素振りすら見せることは無く。彼の両掌で行われたそれより余程軽い杖の一突きで謎の魔術を打ち砕いた影を暫し仰ぎ見たなら、下睫毛の先から滑り落ちる冷えた雫と共に零れたのは折に触れて耳にした常套語。憤怒の具合を尋ねるには些か以上に物騒な言葉選びであるとはいえ罰を下さないのかと自ら伺いを立てる様はごく一般的な少年らしくも、その声は他に気掛かりのある様子の主人に届かずとも無理からぬ程の呟きで。反対に此方を窺うような眼差しには緩徐に首を振れば、自身についての無知と先刻の危難についての潔白を訴えるように再度の告白を)
僕、魔法は使ったことが……ありません。一度も。
(/主様にご相談いただいて初めて此方もその事に心付きました、確かに……。
まず通称についてですが、提示してくださったどれも特別感があって寧ろそんな存在にしていただいて良いのですか……?と恐縮する程です。ここからは完全に私の趣味なのでイメージとそぐわないようであればご遠慮なく蹴っていただけると有り難いのですが、読みとしてそれっぽいルビが振ってあると高揚する性質でして……。一例として〈神の寵愛者:セオフィロス〉〈神の御落胤:ナタナエル〉、緑系の瞳の設定を生かすならば当て字ですが〈緑貴石:エメラルド〉等、精霊の愛し仔については今一つしっくり来るものを見付けられず例を挙げられませんが、宜しければご一考ください。
希少性の程度につきましてもご提示いただいた通りで異存ありません。実は、ミシェルが魔術を扱えるようになってからなので大分先の話にはなるのですが、リヴィオ様に引き取られなかったif世界線の自分を見るという意味で、街で暴れる同程度の魔力を持つ少年/少女を無力化するイベントをいつかご提案できればと思っておりました。そしてその件により魔力量のことを聞き及んだ孤児院の寮母達がミシェルの報復を恐れて次々辞職し孤児院は解体、もしくはご機嫌伺いの接触を図るという流れを夢想しておりました故、浸透具合としては〝一般に広くは知られていない〟と設定していただけますと幸いです。また、初回ロルからオークショニアは断片的ながら知識があったと見受けられますので、〝元は一部流派の魔術師や一部地方で測定器による測定が不可能な魔力量保有者のことを指していたが、それを小耳に挟んだ闇商人達が付加価値のために瞳が緑系統色でそれなりの魔力量があれば軽々にそう呼んでしまったため、本来の意味でそう呼ばれていた者達の正確な人数は把握できなくなっている。それにより正しい知識を持つ者の間では本物、偽物の概念が生まれている〟というのは如何でしょうか……?)
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