866 2022-07-03 00:11:41 |
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(ベルを鳴らして間もなく、規則正しいノック音の後で扉が開かれる。ロッキングチェアに腰掛けたまま、足を組み尊大な態度で執事を出迎えて。「遅い。僕が呼んだら一秒だって待たせるな」いつ呼ばれても良いよう扉のすぐ近くに控えていてくれたのだろう、本当は一秒待ったかどうかも怪しいほど迅速な対応だったのだが、何かにつけて文句をつけたいお年頃なのか元よりそういう捻くれた性格なのか、尤もらしい説教を垂れてみせ。しかし、厳しい口調に反して表情は穏やかで、家族同然の彼を自室へと温かく迎え入れようという色さえ窺える。徐に手を口元へ持っていっては、コホン、とひとつ咳払いをして「……喉が渇いた」と一言。付き合いの長いお前なら分かるだろうと言わんばかりに信頼しきった表情で、説明の少ないその言葉は好物の紅茶を飲みたいということを暗に示しており。ティーカップも茶葉もこの部屋に全て揃えられている。すぐに一つ目の我儘を叶えてもらった暁には、今度は暇潰しの相手をしてもらおうと企んで)
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