狐の面 2022-06-16 12:41:30 |
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わぁ……綺麗な紫色…って、白無垢って白い色だから白無垢じゃなかったっけ……?
(あれから使用人達の後ろを着いて歩き、とある一室へと案内されれば今夜行うと言う式の為の支度を女中の人達がいそいそとしだし、その間にも「御言様に気に入られたようで何より」やら「このまま仲睦まじくいるように」やらこちらの意思は全く無視した発言をされながらの身支度に幾許か辟易しつつも、仲睦まじくいる他自分には価値も居場所も無いと言われている以上やるしかないのはこの人達理解しているのだろうかと若干思いつつ、再度大人しく髪を梳かれたり、本来なら白い筈なのだが自分の目と同じ紫色をした白無垢を着飾られ、しまいには白子と紅と言う幼子にそれをするのかと言いたくなるが伝統だからの一言で押し切られそのまま式に向けての化粧まで施されれば、今の段階でも気疲れしてしまうも、それを『自分はまだ引き取られたのだから恵まれている』『失敗したら追い出されて路頭に迷う』と思い込む事で精神の安定を無意識に行っており。ようやく支度が終われば部屋を移動すると女中に言われまたその後ろを歩いて着いていき、宴会と言っていいのかお披露目と言っていいのか、式の会場となる部屋へと近づけば自然と知らぬ人達の声が沢山聞こえてきて、見知らぬ人達、そして失敗の許されない式と生活、今後を考えるとどうしても表情は固く、肩にも余計な力が入りどこかぎこちない動きで歩いていれば、部屋へと到着し、女中の者が障子を丁寧な所作で開ければ「花嫁の支度が出来ました。」と深く頭を下げると、視線で菖蒲に部屋に入るよう指示を出すが、どこに座れば良いのかと考えて困ってしまい、普通なら新郎にあたるあのお狐様の隣なのだろうが、今回は普通とは言えない式の為どこに座ればと少しだけ狼狽えて)
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