匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──おま、お前……何を……あいつらに教わった……??
(“謝る必要なんかない”と、余裕たっぷりに囁きかけたその瞬間。魅惑のポーズをとる恋人の、その恐ろしいたった一言で……ギデオンは見事、恐怖のどん底に陥った。フ、フリ、フリーダ……よりによって、あの山賊どもから……? と。思わずふらりと、既に横になっているのに倒れそうな顔をする。
無理からぬ話ではある。ギデオンたち男性冒険者というのは、野郎だけで寄り集まるなり、くだらない猥談で花を咲かせる生き物なのだが。かの女山賊どもが繰り広げるダーティートーク、あれの強烈なえげつなさに比べれば、本当に赤子同然もいいところだ。「女というのは、あんなに恐ろしい生きものですか……」と、悠久の時を生きてきたはずのギルマスですら、ドン引きしていたほどである。……そんな怪物どもに、俺の恋人が、ヴィヴィアンが、と。最初に脳内を占拠したのは、これからの教育を憂う、遺憾極まりない懸念。しかし次第にふつふつと、“手つかずの無垢を先に穢された”などという、幼い嫉妬が沸き起こる。もっとも、相手が歳相応の知識を有していることは既にわかっていたはずだが、それとこれとは別問題だ。何せギデオンは、彼女らの“色々”がどれほどえぐいか知っている。しかし本来、ヴィヴィアンにその話をして恥じらう様を楽しむのは、この自分であったはずだ。
様々な感情の綯い交ぜになった声で、問いを投げかけたかと思えば。はたしてその答えが、ギデオンの想定内であったにせよ、なかったにせよ。“恋人のそういった知識にあいつらが影響している”という部分が、やはりどうしても許せないと思ったらしく。不意に体を軽く起こし、ヴィヴィアンの片手をぎゅうっと大きく握り込むと。その首に吸い付きながら、掌の内に意識を集め──お前が欲しい、今すぐほしい、と無言で強請るのは魔力弁。一度情事を引き上げたはずが、どうやら延長戦をおっぱじめる気満々のご様子で。相手に何かしら言われれば、「“次”は頑張ってくれるんだろう……?」と、どこか少しだけむくれたような、しかし開き直っても聞こえる、低く妖しい囁きを。)
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