筆者 2022-05-22 20:58:31 |
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そうだったのか。
読んでもらえたのなら、それ以上に良いことは無い。
( 本は苦手だと言っていた彼だが、すんなりと読めたと聞けば、それはそれでやはり嬉しいもので、上手く感想を述べられないと言うが、全部読んだという事実が有難かった。こちらも、フォローは苦手でどうにも無愛想に返してしまうが…。
それにしても、幾ら比較的薄い書物だったとはいえ、一晩で読んだとなると、一体彼は何時に寝たのだろうか。
__そんなことを考えていたが、次に問われた言葉に、一瞬コップを持ち上げていた手を止めて、相手を見つめた。)
……そうだな。
私の小説は、といっても、特にその本の最後の少女は…。
私の代わりに、望みを叶えてほしかった。
( 小説家が実体験や想いを綴ることは、もはや良くあることだろう。だが、こんな年増な男が言うには少し奇妙だろうか。それでも、目の前の相手には特に誤魔化す必要もないだろうと、淡々と事実を述べて言った。 )
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