筆者 2022-05-22 20:58:31 |
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( 確かに、自分の親の話なんて、子からすれば新鮮で珍しいものだろう。勝手に話してしまっているようで、先輩に対して少し罪悪感はあるものの、それをいちいち申し訳ないと反省する間柄ではないので、相槌を打ちながらもすぐに切り替えて、1番広い居間の部屋へと歩みを進める。)
全部集めているとは、相変わらず律儀な人だな。
…いや、読んでいないならそれでいいんだ。
私の作品は、君のような若者にはあまりおすすめ出来ないからな。まぁ、短編のものぐらいは見繕っておこう。
( 歩きながら、彼の言葉に小さく笑い答えれば、自分の本を読んでいないことを少しばかり気にしている様子の相手に言葉を続けた。
主に女性人気のある作品が多く、とりわけ、切なく重苦しい内容のものもあるので、彼のように純粋な青年には無理に読んで欲しくないのも事実だ。しかし、読みたいというのもお世辞などではないようで、気が向いたら本棚を探ってみようと考える。
居間の目の前には縁側が広がっており、庭自体は無法地帯になっているが、よく日の当たるお気に入りの場所だ。)
私は、暫くここにいるから、自由に見て回るといい。
夕食時にでも管理の話をしよう。
( 仕事はまだまだ終わってはいないが、どうにもスランプ気味で指が進まない。そんな時は縁側でゆっくりするに限る。
相手に再度言葉を掛けると、いつもの定位置に座り込み、昼下がりの緩やかな日差しに目を閉じる。 )
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