筆者 2022-05-22 20:58:31 |
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…大波澄佳。澄佳でいい。
伊川さん、基、君の父には、中学校から高校まで世話になった。私の本を、最初に読んでくれた方だ。
( ふと、名を尋ねられ、そう言えば自己紹介がまだだったと相手へ向き直る。未だに愛想のないまま自分の名を名乗れば、女性名のようであまり好きでは無いのだが、苗字で堅苦しく呼ばれるよりは下の名前で呼ばれた方がいいと上記を述べた。
そして、言おうかどうか迷いはしたが、一間してから彼の父について言及し、懐かしさを噛み締めるように空を見つめた。
中学生の頃から本の虫で、周りに溶け込むことも無く休み時間の度に外で本を読んでいた時、明るく話しかけてくれたのが彼の父だった。
若くしてから結婚し子を持ったと聞けば驚いたが、目の前にいる彼は、あの時の先輩と同じく、優しく明るい雰囲気を持っている。いつまでも、その雰囲気こそが自分にとって眩しいものだ。)
……それはそうと、君は、私の本を読んだことはあるか?
( 感傷に浸ることをやめ、もう一度相手の顔を見上げれば、何故今どきの若者はこうも背が高いのか、と考えながらも疑問を1つ。)
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