スレ主 2022-04-30 22:17:34 |
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【保安官事務所/ゴードン・ヒラツカ、エディー・ドンブラウスキー(混乱→狂乱→移動始開始)、???×1】
>>泛塵
ヒラツカ「――最初は出来心だったんですよ。私は大学で考古学や民俗学で教鞭を執っている傍ら――アメリカ、いや…この国に限らず、民間で伝承されている所謂フォークロア(都市伝説)の類を調べて回る、年代や地域による偏りを集積して本当は何が切っ掛けで広がった噂なのかを推測する。―まぁそんな事大体物好きがやる様な趣味だったのですがね。同僚や教え子からは笑われてましたよ。」
彼(泛塵)からの問い掛けに対して、襤褸切れをフードの様に纏った中年の日系大学教授はそうポツリポツリと話し出す。
ヒラツカ「―(この街)の事を知ったのはつい最近でした、大昔に原因不明の大量失踪事件が起きた街、いや…正確には(街ごと住民が全員消えた)――そんな怪事件が起きた街、名前は“アシュリー”
地図からも消えた筈のこの街が、また目撃され始めたと…興味をそそられた私は知人の探偵を雇う形で誘って調査に赴いた訳です。」
そうして口調のトーンが低くなり…
ヒラツカ「…彼を巻き込んだ事をとても後悔しています。――その後、この霧の立ち込める領域を私たちは右往左往し、時に誰かと出会い、時に誰かを失いながら…幾度かの遭遇と別れの中で、私は古くからの友人をも失ってしまった…」
―――
―
ヒラツカ「彼を失う直前に、彼と約束をしたんです―この理不尽極まりない領域の謎を解き明かしてもう二度と此処に誰かが迷い込む事の無い様に――“元凶”を潰すと、長く此処を調べて回った結果…此処には何か明らかな(何者かの悪意)が働いている事が分かってきたのです。」
そう何処か強い決意を秘めている様な言葉を口にしながら―――ふと引き出しを探っていた手を止める。
怪異慣れしてるとは言え一般人なヒラツカやエディ以上に奇妙な気配がこの保安官事務所を包み始めたのを彼(泛塵)は強く感じるかもしれない。
それ以前に奇妙な笑い声が何処からか聞こえ始める。
ホホホ…ホホホ…ホホホ…ホホホ…
何処か無機質な抑揚の無い一定間隔で聴こえてくる謎の笑い声――声の出元はこの建物の入口からだ。
キィ
ドアの軋む音が笑い声に混ざって僅かに響き
…人影が頭だけをドアから出してこちらを覗きこんでいるのが見える。”それ”はおかっぱ頭で、笑顔の人形だった。ただし、ただの人形ではない。
顔は人形特有の真っ白な肌なのだが、笑顔のはずの目は中身が真っ黒で、目玉らしきものが見えない。口も同じで、唇らしきものもなく、そこにはやはりぽっかりと真っ暗な、三日月状の穴のようなものがある。それでも、目や口の曲線で、「にっこり」と言う感じの笑顔だと分かるのが余計に不気味だった。
ホホホ…ホホホ…ホホホ…ホホホ…
エディ「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
最初に反応したのは相変わらず冷蔵庫を漁っていた小太りの青年だった、立ち上がり口元から食べかけのパイらしきモノの破片をこぼしながら…唐突に笑い出したのだ。
その顔は――何処か焦点があっておらず、一頻り笑い叫びながら―その外見からは想像も出来ない速度で事務所の窓に走り出して外へ飛び出してしまった。
エディ「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
ガシャアアアアアン!
ヒラツカ「――アレの声を聴いてはいけない。気を狂わされる!エディはあの声のせいで」
ホホホ…ホホホ…ホホホ…ホホホ…
狂乱して外に飛び出していった小太りの青年(エディ)を他所に苦しげに首を振りながら、民俗学者はリボルバーを事務所の入口から顔を覗かせているその(人形)に向ける。
その笑い声は、心在るモノの其れを掻き乱し狂わせる…
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