匿名さん 2022-04-24 11:11:17 |
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( 軋む部屋の中で薄い透明の膜に守られた自身の双眸は、彼の爛々とした光が反射することによって燃え盛るようにも見える瞳に一種の拒絶が風にさらわれる水面のように揺らいだ事を見逃してはくれなかった。誰にも掴まれずに行き場のない手を今更しまうこともできず、覚束ない足取りの彼を心配が滲んだ素振りで追いかけながらも拒まれた事へは内心苦虫を噛み潰したような複雑な感情を抱いていた。ただそれは悪意や苛つきではなく、どちらかというとざらついたにじむような自己嫌悪に近いもので。「 あの……わかりました 」何か言葉を掛けようとするがこの場で最適解の気の利いた言葉を探し出す前に、努力虚しく一度響いた今までよりも少々大きな音がそれを一度打ち切り。向けられた背から伸びる影になるべく近づくようにゆっくりと登れば待機している処理部隊に軽く礼を、此方からも報告を行おうとした際にパンツのポケットから業務用の携帯電話が単調な電子音を鳴らした。はい、と返事をする間もなく流れ込んでくる優しげではあるが無機質で本能的恐怖を呼び起こすようなその声に思わず全身の血管が急激に冷えていくのを感じる。注射の悪魔の制圧ご苦労様__それが彼女の本心から出たまことの言葉か、そうでないからすらまともに判断することはできず、助けを求めるように相手へとじっと視線を送りながら畏敬としか形容できない感情が一心に込められたか細い声で息継ぎ代わりの返事をするのが精一杯だった )
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