オペラ-罅隙- ／ 〆

( 入学以来の付き合いで同室の自分が気づいてなかったものを、周防なら気づいているかもと言われれば良い気はしない。眉間に皺を寄せ、随分と周防を認めていることだと、また1人拗らせかけたところを抱き寄せられ、困惑したように両手を空にさまよわせると、鼻に触れた柔らかい感触に櫻子の細い腰にそっと回して。 )

相手を大切にしたいと強く思っている……か。
っ、分からないな、何故お前はそんなことを言うんだ……？

( 授業中にもよく見せる、理知的な印象の顎を傾ける考える時の癖らしいものを見せれば、昨晩の櫻子の言葉をそのまま繰り返す。その意味を理解して、この2日間の行いを思い起こせば起こすほど、櫻子がまるで明人を大切な相手のように扱う理由がわからなくて、自分の愚かさを突きつけられているようで堪らなくなる。くしゃりと苛立ちと不安の混ざった笑顔に表情を歪め、悲しみに揺れる瞳で櫻子を見つめると苦しそうに吐き捨てながら、先程回した手で拒絶の意を込めて櫻子を引き剥がして。その際に指先の届いてしまいそうな細い腰の感触に最初の夜を思い出せば、櫻子にも思い出させ甘い演技を黙らせるつもりで色っぽく背筋をなぞって。 )

……俺への復讐なら大成功だよ。