匿名さん 2022-03-14 00:31:01 |
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騙していた俺が悪いから、こうなっても自業自得……。俺が信じられないのは正しい判断だから、明人は何も悪くない。
(明人の裏切られた悲しみは測りしきれず許しを乞うなど考えていなかったが、思考を停止したくなるほど今は何も考えたくない。手を掴まれ誘導されるがままに自身の手は明人の胸ぐらを掴んでいた。至近距離に彼の端正な顔が見えて余計に苦しむ。信用されていないと理解していながらもやはり完全には嫌いになれず「明人の目の前に無理矢理穢されても尚、お前に対して好意的な女がいる。それが俺だと言ったら?……信じてくれないよな。俺は明人を裏切ったんだから。」初めて態と冷めた声色で告げてから明人の望み通り、胸ぐらを掴んでいる両手は明人の首へ回され、しなだれる様に躰を態と密着させ自ら荒々しく唇を重ね合わせる。以前明人からされた様に。瞼は閉じることなく真っ直ぐに見詰め、熱を孕んだ眼差しを送り。信用されないのなら嫌われ者へ徹しようと態と振る舞い、卑しい女を演じて。唇を一度離し、最後のわがままになるのならと気持ちを伝えるべく唇動かし「明人は明人だから、卑屈なところがあったって俺はお前を嫌いにならない。完璧な男なんかに興味はないからどこか欠点があった方が愛おしくて……俺は惹かれる。」この気持ちが伝わらずに何度蔑まれようが、気持ちを伝えた事に後悔はしていないのか表情は晴れやかに変化して。)
明人の気持ちが晴れて幸せになってくれるのなら、俺の秘密を暴露してくれて構わないぞ。
(今は長兄との夢よりも大切な親友がどうやったら幸せになってくれるのか。固くなった頭を凝り解して導き出した結論は、彼の望み通り櫻子の秘密の暴露で。親友として、級友として今まで切磋琢磨して競い合ってきたので近くにいられなくなるのは些か悲しいが、大切な人が幸せになれるのなら暴かれても厭わないという強い信念を持ち。相変わらず晴れやかな表情のまま前向きに未来を見据え、勝手に退学した後のことを考えると、ずっと封印していた“女”として本来あるべき姿で生きていこうとする道が現れて。)
退学になったら女として生きていく。縁談とか考えただけで恐ろしいが、今の俺にそんな可能性はないだろうな。可能性があるとするなら、明人の方だ。
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