光梨 2022-03-09 19:01:29 |
通報 |
厳しい表情をしてしまったが故に許しを必死に乞うように矢継ぎ早に話し始めた彼だったが、こちらの冗談返しに法廷でよく見る追い詰められた時のような反応をするので本当に様々な顔を見せる飽きぬ男だと、ククッと肩を軽く震わせて控えめに笑って「冗談だ。」と彼を慰めたが、それから続いた彼の言葉に驚きすぎて表情筋にまで反応が追いつかずにピクリとも動かさず気道が締まるような感覚がして一瞬言葉を失って固まってしまった。"特に用がなくとも会いたい"と…そう言ってくれたのか…?ぐるぐると彼の言葉が繰り返し脳内を駆け巡り、御剣の戸惑いを徐々に溶かしていく。そしてまた心臓が通常以上の脈動を開始し、続いて嬉しい…という感情が内から溢れ出るみたいに体温が上昇した気がする。こんな現象、私は初めてだ…本当にこれは一体何なのだ?キミは私にとって他の人間と何が違うというのだ…?やはり不可解な自分の感情が迷宮入りしかける中で、誘った食事に無言は失礼に値すると慌てて頭を切りかえて、彼に食事を続けようと促しながらフォークとスプーンを手に取ってスプーンの上でフォークとパスタを巻き付け、それを口に運んだ
「私は…いや、私もキミと用がなくとも会いたいと思っている。だから、キミからの連絡を楽しみに待っている
さあ、冷めぬうちに食べてしまおうか。食後のデザートも待っていることだしな」
トピック検索 |