トラノコ 2022-01-01 18:33:42 |
通報 |
ゾロ
唐突的な眠りに落ちたゾロの目の前には島に上陸した直後の風景が広がっていた。これは夢だとさすがに識別がついたのだが、現実と違ったのは女に囲まれているのはサンジだけで、ゾロは遠くでそれを眺めていたのだ。当時同様に鼻の下を伸ばして浮かれ気味のアイツは一人の女の腰を抱いてどこかへ向かおうとしたのでゾロは止めようとした。だが、できなかった。体は動かなくてただただ幸せそうなサンジの後ろ姿を眺めているだけ。距離が離れる度、喪失感が強くなる。アイツが女に笑いかけ腰を引く度、頭が真っ白になっていく。当たり前のように、そしてウザったいくらいに与えてくるスキンシップを俺以外にしていやがるのを見るととてつもなく腹が立つ。でも、それを見て、与えられているのは俺ばかりで俺は何かをしてやれているのだろうか、恋人として……そう思った。そこで夢は途切れ、意識が浮上する。ちょっとした気絶のようなものなので意識のなかった時間は数十分といったところのようで目を開けると事後の抱擁を受けていた。目の前にいることに、ほっとすると同時にこの不可解な感情に戸惑う。わからない、この感情含めて愛の表現などどうしたらいいのか…だから、ぽつりと一つ問いかけた
「テメェは、これで満足してんのか?」
トピック検索 |