トラノコ 2022-01-01 18:33:42 |
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ゾロ
この抱擁を振り払うのは容易だ。しかし、それをしないのは嫌ではないということを証明していて、抗うのをやめた。そして、いま一度強まったサンジの腕の力を掴んでいた手のひらと腹部で受け入れた。この苦しくなるほどの力強さがサンジの想いそのものなのだろうと感じて…そうしていたのは一瞬だったろうか、それとも長い時間だったろうか。ふと抱擁から解放されて、行く予定だった場所へと促された。感じていた温もりが消えたその瞬間に甘さに鈍っていた思考が戻ってきて、また気恥しさに振り返ることもなく足早にキッチンを後にした。他のクルーの目を避けて風呂場に辿り着くと服を脱ぎ捨ててすぐにシャワーを出して頭から湯をかぶり、サンジの残したものの片付けに手をつけた。
風呂からあがり、ポカポカと日当たりの良い甲板に腰をおろして朝イチの疲れからか眠りに落ちるのは早かった。しばらくすると強烈な目覚まし時計よろしく船長が島の発見を叫ぶので目を開けると、船首の向く先には確かに島の形を捉えることができ、途端にクルー達は忙しなく島で補給するものやらを確認するために動き回るのをゾロはボーッと眺めた
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