トラノコ 2022-01-01 18:33:42 |
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ゾロ
逐一癪に障ることを拾ってきては口にしてくるはずの男のやけに静かな様子に、へェ…アホでも大人になるんだな。と胸の内で感心した。それと共に少しだけ物足りなささえ覚えたのだ。こういう大人びた一面を見ることでここでやっとコイツはおれの知らない時間を生きたコックなのだと思い知る。そこでどうしても気にかかるのは現在の…おれにとっては未来のおれとコックの関係だろう。今でもこの関係になったのはコックの気の迷いなのではと疑惑は持っているものの、もしそうだとしてもその一時の気持ちを利用しているおれだ。終わっていようと、あぁ、そうだろうなと受け入れるつもりだ。それでも聞くのが怖ぇだなんて、悪いもしもを考えると横にいるのも心苦しいだなんてらしくもねェ。口を閉ざしたまま違うことを考えつつ聞き終えるとらくしなくどこかぼんやりしたまま少し歯切れ悪く口を開く
「あぁ…いや、おれが勝手に来たんだ、面倒かけるのも悪ぃしな。自力でやるさ、テメェの言う通り森にでも行ってみる」
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