トラノコ 2022-01-01 18:33:42 |
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ゾロ
俺だって怪しいモン拾い食いなんてしねェよ。と一度ムスッとした表情をしたが、その眉間のシワを解すように落とされる口づけとやけに穏やかなコックの顔に気を荒立てる気も失せて大人しくしておくことにした。まるで宝物にすがりついて頬ずりするような仕草をするこの男は、手に入れたものを守り慈しみ、全力で愛を注ぐ男だ。わかっちゃいるが、俺は大切に大切に守られるようなヤワでもねぇし、そんな必要もねェ。そう思うのに、こうまではっきり好意を表されて もっと…もっと…俺にだけその感情を寄越せばいいなどと考えちまう。今まで他人から向けられる好意などそれほど深く捉えていなかったのにだ。
耳に届くコックの言葉に頷き「ああ、食う。」と短く返すと傍にあるコックの耳を軽く食んで誘い文句を囁く
「デザート付きでな。」
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