トラノコ 2022-01-01 18:33:42 |
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ゾロ
「おう、おかえ──」
修繕したとはいえ、所詮素人作業だ。完全に外の音を遮断できたわけでもなく自然の音に混じって聞き馴染んだ足音が聴こえてきて、コックが帰ってきたのを察した途端に腹が減ってきた。このまま待ってりゃ黙ってても料理が出てくるだろうから目を閉じて音や気配でコックを追っていると様子でも見に来たのか近づいてきては疲れたような声色を出すのでコックの表情を視認しようと目を開けた瞬間に抱きしめられ、言葉を遮られた。磯の香りと暫くタバコを吸っていないからだろう、サンジ自身の匂いが鼻を掠めて違う奴に抱きしめられているような錯覚に陥ったが視覚からは確かにコックだ。いや、そんなことより いきなり求められるなどどうしたのだろう。人間は生物的本能で命の危機に瀕すると種を残そうと発情すると言うが外傷はなさそうなんだがな……とりあえず正気か確認すべきか?そう考えてコックの両頬に手を添えて顔をあげさせ、目を見ると
「ま、待て…落ち着けって…いきなりなんだ。何かヘンな物でも食ったか?」
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