諜報部員 2021-11-28 21:49:05 |
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( アーネストは此方に駆け寄ってくるオリヴィアの姿に見向きもせず彼女からの言葉を黙殺すると、オフィスの出口にある入退室管理システムのセンサーに、首から提げているICカード職員証をかざした。機密情報の漏洩防止や部外者の入室を防ぐという重要な役割を担っているシステム。半世紀前にこの装置があれば、イギリスの情報機関にとっての悪夢であるキム・フィルビー事件は起こらなかったかもしれない。当時の職員は全員お互いを知っていた。それゆえ職員が昼食に出たり荷物を持ち出したりしたところで、警備員は検査をすることなく挨拶するだけだった。もちろん、その人物の鞄の中に最高機密の書類がぎっしり詰まっていたとしても。そんな冷戦期から時は流れ、テムズハウスも大きく変わった。キム・フィルビーからの教訓を活かして厳重な警備体制になったことはもちろん、<執行人>の設置も挙げられるだろう。黒ずくめの特殊部隊。当初は対テロ作戦遂行を目的として設置された部隊だが、今となってはあらゆる作戦を任されている。今回の任務でも必要となってくるに違いない。__一向に開こうとしないエレベーターのドアにアーネストは軽蔑的な視線を向ける。ボタンを押して催促するものの、何度押したところでエレベーターが加速するわけでも時間が止まるわけでもない。もちろんそんなことは理解している。だが、何かしていないと気が済まないのだ。やっとのことで彼らがいる階まで降りてきたエレベーターがその鋼鉄の扉を重たげに開けると、彼は飛び込むようにしてそれに乗り、地下駐車場の階のボタンを押した。降りていくエレベーターの速度は恐ろしく遅い。それは意図的なものか、そうではないのか。どちらにせよ、これに乗っている者は苛立ち、知らず知らずのうちに無力感に襲われる。一刻の猶予も許されない状況であれば尚更だろう。アーネストはまたも腹立たしげに扉を見つめたまま、彼女に命令を出して )
地元警察にフェリー周辺を封鎖させるように伝えろ。それとハリッジ周辺にいる<執行人>にも連絡して港で待機するように言え、いいな。
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新年あけましておめでとうございます!今年もどうぞ末永くお願い致します。お返事に関してですが、年明けということもありお忙しいでしょうから、お手隙の際にごゆっくりと作成していただければ幸いです。
素晴らしすぎて思わず顔が綻んでしまいました…!拳銃自殺に見せかけた証拠隠滅なんて全く思い付きませんでした…。普段とは違う、まさしくプロの仕事をこなすオリヴィアの様子を想像しただけで既にわくわくしております…!ぜひともそちらの展開での進行をお願い致します!
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