とある国のもの 2021-09-26 16:50:35 |
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(馬車が走る大通りは案の定、道の両脇に沢山の国民が自分たちの事を一目見ようと集まってきていて。そして隣に座る相手は笑顔で国民の「ルエン妃ー」という声に手を振り返して、自分も普段と変わらぬ表情ではあったが「オグル王子ー」と名を呼ばれれば手を振り返し。しかしそんな声援のような声はごく一部であり、自分へと向けられる声の大半は「あんな王子の嫁にされるなんてルエン妃も運の無いお人だ」「何てったってあの残虐王子だものな。隠れてルエン妃に酷い扱いしてるんじゃないか?」「冷酷王子ならしそうだな」なんていう謂れの無い相手の扱いに対するもので。勿論反応こそしないものの自分の噂が此処までとは、と改めて実感してしまうもので。確かに相手の姿をギリギリまで隠すために部屋に基本いるよう指示こそしたが、国に関する授業も出来るだけ飽きられぬよう分かりやすく教えてきたつもりだし、この国の料理に不慣れな可能性も考慮し少しずつ慣れて貰おうと指示もしたりしてきていて。それでもそんなことは国民には一切知る事は当然無くて。さまざまな酷評や噂、それから考えられる酷い扱いをされてる(という噂)相手を慮る声、それらを無言で聞きつつも一切反論はしないまま大通りを抜け長閑な丘の上に建つ教会への道に入れば、沿路の人数もすっかり減って殆ど無くなってきており)
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