りりこ 2021-09-24 18:29:05 |
通報 |
(日本のある都会の路地裏の奥にある喫茶店。ここの店主が出してくれるコーヒーが無性に飲みたくなる時があり、そういうときは足しげく通っている。今日もそのコーヒーを堪能し、帰路へと辿るが今まで晴れていた空に急に陰りが広がり始める。ただでさえ薄暗い路地裏はより一層暗さが増し、やがて頬にポツリと雨水が降ってくるとと折り畳みの傘を広げ、それと同時に途端に雨脚が強くなってきて。傘に打ち付ける雨の音を聞きながら今朝の天気予報を聞いておいて良かったと胸を撫で下ろしながら歩いていると、そこには異様な雰囲気の女性が壁に凭れ掛かっており。急いで駆け寄ると人並外れた色白さに唇の隙間から除く牙。その容姿からこの女性は吸血鬼だろうと推測がつき。人と人外が共存する道を選んだとはいえ光あるところに影もある。彼女もまた、この世界に淘汰された人外の一人なのだろう。この吸血鬼をこのまま放っておけばやがて陽が差した時に残酷な末路を辿ってしまう。そんなこと見過ごせるはずもないだろうと思えば相手の体を抱き上げ、近場に泊めておいた車に乗せて自宅へと連れて帰り。)
(家へと連れかえれば、まずはずぶぬれの体を拭き上げ、そして相手に申し訳なく思いながらも服を脱がせてはなるべく裸を目にしないようにしながら自分の使っているジャージを相手に着せて、ベッドに寝かせて。相手にジャージを着せている間にちらりと目に入ったのは白い肌に悪意の塊のような痛々しい無数の傷。そしてそれとは別に眼帯に隠された右目の焼け爛れた痕。それらを見て、壮絶な人生を歩んできたのだろうと涙を流しそうになれば、相手が起きたときに何か軽く食べられるものを用意しようと台所へ向かって。そうして約30分後。お粥を持って寝室へと戻ってくればそこには体を起き上がらせようとしている相手がおり、慌てて「あ、こら。まだ起きるな。」と傷だらけの体をいたわるようにして。)
トピック検索 |