某日、寮部屋にて　(　〆　)　

たァつみ、──あれ。今日は俺が先か。(　制服姿のまま若干の疲労感漂わせ、片手に紙袋を提げて訪れ　／　静寂の蔓延る室内に視線を配り、一旦紙袋をテーブルに置けば徐にソファに身を埋め　)

ん、良いね、似合うだろうなあ。俺は他の人に興味ないんで大丈夫でーす──何からやる？雑貨屋とかも寄るからあんまりたくさんは取れないけど。
(　普段落ち着いている相手が忙しなく楽しげな様子をみせるのを眺め。緩く首を傾げつつ、好みを問おうと。大容量のお菓子に大きなぬいぐるみ、キャラクターもののフィギュアなど。店内が騒がしいのを良いことに少しだけ距離を詰めて　)

……ん、あ。お疲れ様ー慧ちゃん。(　着替えた上で自室での作業後、ドアノブ回して入室　)ちょっと色々やってたら遅くなったわ、お待たせ？(　何度か瞬きを　／　後ろから抱き締め　)

っと、巽もお疲れさん。(　軽い衝撃に顔だけ振り向き　／　見慣れた姿に柔く口角上げ　) んや、そんなに待ってねえから平気。……ね、お前腹空いてる？(　ゆるり首を左右に振り　／　紙袋一瞥し　)

会いたかったよー、ダーリン。(　ふざけて頬に口付け落とし　)ありがと。え、なーにそれ。気になる。(　軽く頷き　／　隣に座り紙袋へと視線向け　)

俺もだよ、ハニー。(　刹那目を瞬かせるも擽ったげに笑み　／　戯れで応じ額に口付け　) バイト先の新商品で試作品の焼き菓子とケーキが幾つか。巽にもって渡されたから、良けりゃ一緒に食わねえかなって。感想も聞きてえしね。(　紙袋注視したまま滔々と説明し　)

なーんか久しぶりな気ぃすんね。ちょい照れる。(　緩い笑み浮かべ　)おー、良いの？本来なら客の立場だけど。あ、なら珈琲か紅茶を……此処は店員さんにお任せした方が良いかな。(　徐に立ち上がるもぴたりと止まり　)

言うなってば、…釣られる。(　僅かな照れが伝染し首裏掻き乍らぼやき　) 個人経営で緩いのもあるけど、単に色んな意見を募ってんじゃねえかな。ふは、それじゃあ出張店員すっかね。んで、なに飲みてえの。(　二人分のマグカップ用意し首傾げ　)

えーなに、照れてんの？(　ふざけて覗き込むようにして　／　へらり　)最初に食べるのが通常メニューじゃなくてまだ世に出てないのって、なかなか凄い気するわ。珈琲入れてー、ブラック飲めないからミルクありで。(　手ひらりと振って要望告げ　)

……うるせ。照れてねえっての。(　眉間に皺寄せ顔逸らし　) 確かに中々ねえよなァ。まあ近々通常メニューも食わすつもりだから。ん、了解。ミルクは幾つ？(　さらりと快諾するなり自身の分も含め準備始め　)

えー、残念。(　面白がるようににやにや　)もしかしなくても、カフェ行かなくてもメニュー作れる感じ？(　首傾げ　)ひとつでいーよ、ケーキあるし。あんまり甘くしすぎたらそれはそれでケーキの味邪魔しそうじゃん？(　作業風景眺め　／　表情緩めつつ答えて　)

なに、照れてて欲しかったのお前は。(　不貞腐れた面持ちで振り返り　／　両頬を片手で挟むように固定して　) 作れねえ事もないけど、食材とか機材とかがねえと難しいな。ま、そりゃそうだな。はい、お待たせ。中にちっせえフォーク入ってるからそれで食って。一応説明するとケーキはレモンパイとベリーとほろ苦い生チョコのタルト。焼き菓子はカヌレな。(　机上に珈琲とミルク注いだマグカップ置き　／　遠慮なくソファに腰を落ち着けては箱の中身見せ乍ら説明し　)

んー……ごめんって。(　抵抗しないまま僅かに眉下げ軽く謝り　)それさえあればできるんだからやっぱり凄いわ。たぶん俺なんもできないし。おーすご、色々ある。カヌレとか初めて見た。(　中身を物珍しそうに眺め　／　悩ましげに見るだけですぐには手をつけず　)

……珍しくしおらしいね。(　首傾げひとつ呟けば頬を解放してやり　) つってもホールスタッフだかんな、俺。簡単なレシピしか知らねえ。あ、───たァつみ。トリックオアトリート。(　食指動かさぬ相手を暫し眺めるも途端名案だとばかりに一旦箱を机上へ遠ざけ　／　朗らかな笑み湛え合言葉を　)

実はちょーっとお疲れなの。色々頑張ったんで。(　目を伏せぽつり　)イケメンに接客されたら女の子簡単に落ちんじゃん。うわー、制服似合いそ。あ、ちょっとー……(　遠ざかる箱にあからさまに表情不満げに変化し　)お菓子あるって言ったら萎える？(　鞄から出した駄菓子揺らし　)トリックアンドトリート、なんつって。(　楽しげに笑うと頭をわしゃわしゃと撫でて　)

そりゃお疲れさん。俺と居る時くらいは気ぃ楽にしてくれよ。(　表情和らげ労るように背を撫で　) ンな事ねえから。多少のリップサービスはするけど売り上げの為だし、───つったら流石に悪どいか。はいはい、後でな。(　さらりと実情述べるも途中口を噤み　／　不満気な横顔に喉鳴らし笑みを溢せば幼子に言い聞かせるよう柔い声音で　) なァんだ、持ってんのな。残念、悪戯する機会は又今度か。……お前欲張り。(　不意打ちの戯れの文句に瞬くも髪を掻き撫ぜる手に抵抗は示さず　／　楽しげに細めた目で相手を捉え　)

ん、ありがと。追い詰められないように頑張ってるとこ。(　ふざけて冗談交じりに話し　)あれ、なーんか聞こえちゃったんですけど？俺のこと子どもだと思ってるでしょ、まったく。(　拗ねたような表情で　)なんも持ってなかったら良くないかなと思って。実際クラスの奴らから散々集られたし。これ渡さなかったら悪戯できんじゃない？(　わざとらしく鞄に仕舞おうと　)普通じゃつまんないかなと思って。(　平然と告げては軽く手櫛で直し　)

ん、そっか。無理しねえ範囲で頑張ってな。会えなくてもお前の事は応援してるし。(　軽薄な調子と相反し本音を吐露すれば頭ぽふと撫で　) 思ってねえよ、ほーら機嫌直して巽。(　戯れに指先で頬軽く突き　) ンな事言って良いの？マジで悪戯すんぞ。後悔しても遅いやつ。(　様子眺め乍ら滔々と告げ　) トリックアンドトリートだったら、確かお菓子渡したら悪戯されんだろ？……それじゃあケーキは独りで食うかなァ。(　わざとらしく眉尻下げて視線を流し　)

実際ペース落ちてるからね、ちょっとは。寂しくさせてなきゃ良いけど、前は張り切ってたんだろうね。あれはあれで楽しかったけど、今のこの緩い感じ結構楽。(　目を細めて受け入れ　／　思い出したかのように呟き　)もー……そんなに怒ってないけどね、元々。(　表情和らげ　／　手を伸ばして指先捕まえ　)やばい意地悪されるわけでもなさそうだし？なんか悪戯したそうだもん、慧ちゃん。(　頬杖つきながら横目で見やり　)えーなんで……太ってもいーの？独り占めしたらそのぶん太るよー。(　強請ることなくあえて茶化し　／　肩つんつん　)

丁寧に返事してくれる分まだ寂しくはねえよ。大丈夫。ん、それ分からんでもねえわ。俺も最近ほんのちょっと忙しねえからか、この緩いペース落ち着く。(　凪いだ声音で言葉紡ぎ　／　同意の旨込めて深く頷き　) ……ここだけの話さ、巽の拗ねた表情可愛くて好きなんだよなァ。(　器用に指先を絡め乍ら視線は手元に遣りぽつり独白し　) うん、悪戯してえ。(　簡潔に胸の内告げ　) 狡くねえ？その脅し文句。巽の隣に立てねえ体型にゃなりたくねえし、ケーキも寄越すからさ、……悪戯は控え目にな？(　言葉詰まらせては僅かに間を置き嘆息し　／　ケーキと焼き菓子の収まった白箱を手繰り寄せ　)