観測者 2021-09-18 20:02:12 |
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>ミラ・ロード
人間界の酒は薄くて飲んだ気がしない。
( こちらを気遣って掛けられた言葉に、同じだけの配慮を返すわけでもなく心のままに答える。以前一度だけ飲んだことがあるけれど、あんなものは水とさして変わらない。あれを飲んで人間は一体何が楽しいのだろう。あんな薄い酒であれだけ楽しげに騒いで、いっそ羨ましいとさえ思うほどだ。しかし、酒は好きではなくとも、酒に酔った人間の様を見るのは好きだった。途端に誘惑に弱くなり、自分の欲望に忠実になる。明日はお嬢も酒を飲むのだろうか。それならば付き合うのも悪くない、と少しだけ気分の浮上した自身を自覚する。先程からまるで〝母親〟という存在のようにあれこれと食事や飲料の心配をする彼女に、機嫌良く口角を上げれば、挑発的な瞳で意地悪く問い掛け )
そんなに俺の機嫌を損ねたくない?
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